2年に1度の選挙イヤーを迎えた台湾
2026年1月
門間 理良
門間 理良
日本では突然の衆議院解散、総選挙で色めきだっているところですが、台湾も今年は2年に1度やってくる選挙イヤーで、11月28日(土曜日)に通称「九合一」選挙(日本風に言えば統一地方選挙)が実施されます。これは台湾全土で合計9種類の選挙が行われることからついた呼称で、選挙区ごとに決められた選挙に有権者が投票する仕組みです。例えば、台北市で選挙権を持つ有権者には市長選挙、市議会議員選挙、里長選挙に投票する権利があります。いまは各党で少しずつ公認候補者が決定し始める時期でもあるので、私たち台湾研究者は興味深く観察を始めています。
さきほど紹介したように全部で9種類ある選挙ですが、世間の注目を集めるのは台湾全22県市で実施される県市長選挙(県知事・市長選挙)で、これで各党の候補者たちがどの程度首長の座を獲得したかで、民進党が勝った、国民党が勝ったなどと台湾メディアが書き立てるのです。
台湾の立法院(国会)は、野党(国民党と民衆党、親国民党の無所属)が全113議席中62議席を占めていて、51議席の民進党は少数与党政権で苦しい立場にあります。県市長に関してもそれは同様です。国民党は2018年と22年の県市長選挙で連勝した結果、現在は全22県市中14県市で首長の座を保持しています。これに対して民進党は5県市で大きく水を開けられているのがわかります。
まだ各党の候補もそろわない段階ですが、各党の様子を見てみましょう。まずは、国民党です。台湾には地方首長にも連続3選禁止の法律制限があり、現在2期目の現職は今年の県市長選挙に出馬できません。国民党はこれに該当する県市が多いところが懸念材料ですし、昨年10月に親中派の鄭麗文氏が党主席に当選したことの影響も気になるところです。現状を維持できれば、国民党は十分すぎるほどの勝利でしょうが、2、3ポスト落とす可能性はあります。
民衆党は以前「時代力量」で党首をしていた黄国昌氏が同党に鞍替えし、現在は主席を務めています。民衆党は立法院では比例で選出された8議席のみで、地方党組織も極めて貧弱な小政党です。台湾では小政党が生き残るには厳しい環境で、過去の小政党は例外なく立法院で長く議席を確保することができていません。民衆党の生き残り戦略は11月の統一地方選挙で存在感を見せつけて党の価値を高め、2028年に国民党の総統候補から副総統候補に指名されることではないでしょうか。首長の数は0か1で、2ポストを取れれば大勝利と言えます。
民進党は国政で与党とはいえ、苦しい戦いを強いられそうです。外交や国防、中台関係が注目される国政選挙(総統選挙、立法委員選挙)に対して地方選挙では民生が重視されます。総統でもある頼清徳主席の下で党勢を盛り返したいところですが、頼総統と卓栄泰行政院長の支持率は昨年7月、8月に仕掛けた立法委員リコールに向けた投票で全敗を喫しました。通常の選挙で選出された立法委員をリコールという手段で追い落とすことに有権者が忌避感を抱いたことが原因にあることは、支持率調査結果からも明白でした。その後の支持率は両者とも回復傾向にあるとはいえ、いまだに不支持率が支持率を上回っているのは大きな不安要素です。2、3の首長ポストを上積みできたら、現実的には「大勝利」でしょう。
現時点で予測すると、県市長選挙は3政党のいずれか1つが大勝利を宣言する結果にはならず、県市長の数で、民進党が2前後の増加、国民党が2前後の減少、民衆党が0から2の間という細かいレンジでの変化に終わると考えられます。そのような中で、中国の選挙戦への介入は巧妙に行われるものと予測されていますが、それはまた別の機会にお話しすることにいたします。
さきほど紹介したように全部で9種類ある選挙ですが、世間の注目を集めるのは台湾全22県市で実施される県市長選挙(県知事・市長選挙)で、これで各党の候補者たちがどの程度首長の座を獲得したかで、民進党が勝った、国民党が勝ったなどと台湾メディアが書き立てるのです。
台湾の立法院(国会)は、野党(国民党と民衆党、親国民党の無所属)が全113議席中62議席を占めていて、51議席の民進党は少数与党政権で苦しい立場にあります。県市長に関してもそれは同様です。国民党は2018年と22年の県市長選挙で連勝した結果、現在は全22県市中14県市で首長の座を保持しています。これに対して民進党は5県市で大きく水を開けられているのがわかります。
まだ各党の候補もそろわない段階ですが、各党の様子を見てみましょう。まずは、国民党です。台湾には地方首長にも連続3選禁止の法律制限があり、現在2期目の現職は今年の県市長選挙に出馬できません。国民党はこれに該当する県市が多いところが懸念材料ですし、昨年10月に親中派の鄭麗文氏が党主席に当選したことの影響も気になるところです。現状を維持できれば、国民党は十分すぎるほどの勝利でしょうが、2、3ポスト落とす可能性はあります。
民衆党は以前「時代力量」で党首をしていた黄国昌氏が同党に鞍替えし、現在は主席を務めています。民衆党は立法院では比例で選出された8議席のみで、地方党組織も極めて貧弱な小政党です。台湾では小政党が生き残るには厳しい環境で、過去の小政党は例外なく立法院で長く議席を確保することができていません。民衆党の生き残り戦略は11月の統一地方選挙で存在感を見せつけて党の価値を高め、2028年に国民党の総統候補から副総統候補に指名されることではないでしょうか。首長の数は0か1で、2ポストを取れれば大勝利と言えます。
民進党は国政で与党とはいえ、苦しい戦いを強いられそうです。外交や国防、中台関係が注目される国政選挙(総統選挙、立法委員選挙)に対して地方選挙では民生が重視されます。総統でもある頼清徳主席の下で党勢を盛り返したいところですが、頼総統と卓栄泰行政院長の支持率は昨年7月、8月に仕掛けた立法委員リコールに向けた投票で全敗を喫しました。通常の選挙で選出された立法委員をリコールという手段で追い落とすことに有権者が忌避感を抱いたことが原因にあることは、支持率調査結果からも明白でした。その後の支持率は両者とも回復傾向にあるとはいえ、いまだに不支持率が支持率を上回っているのは大きな不安要素です。2、3の首長ポストを上積みできたら、現実的には「大勝利」でしょう。
現時点で予測すると、県市長選挙は3政党のいずれか1つが大勝利を宣言する結果にはならず、県市長の数で、民進党が2前後の増加、国民党が2前後の減少、民衆党が0から2の間という細かいレンジでの変化に終わると考えられます。そのような中で、中国の選挙戦への介入は巧妙に行われるものと予測されていますが、それはまた別の機会にお話しすることにいたします。





