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トランプ大統領はロシアのエージェントか?


2025年8月
名越 健郎
 トランプ政権一期目のスローガンは、「Make America Great Again !」
 トランプ政権二期目のスローガンは、「Make Russia Great Again !」

 米国のジョークサイトに投稿されたこの政治ジョークはよくできています。
 8月15日、米アラスカ州で行われた米露首脳会談で、トランプ大統領はプーチン大統領をレッドカーペットで歓迎し、自らの専用車に乗せるなど厚遇が目立ちました。

 ロシアの国営テレビは、大統領専用機を護衛する米空軍機の飛行やそれを見守るプーチン大統領の機内の様子を長々と放映していました。
 ウクライナの子供連れ去りで国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を請求されたプーチン氏にとって、「威信回復」を内外に誇示するイベントでした。

 2時間半の首脳会談はプーチン氏が一方的に話し、ウクライナ軍が東部ドンバス地方全域から撤退すれば、停戦に応じ、再攻撃しないと表明。トランプ氏も同調し、「土地の交換」を支持したようです。

 米国のメディアは、「ウクライナは裏切られたと感じている」(NBCテレビ)、「厚遇したのにトランプ氏は手ぶらで帰った」(ブルーンバーグ通信)などと批判的でした。

 ゼレンスキー大統領と欧州首脳は慌てて訪米し、ホワイトハウスで18日、異例の集団討論が行われました。会議では、ウクライナへの「安全の保証」やロシア、ウクライナ、米首脳の3者協議が決まりましたが、今後の展開は不透明です。トランプ氏がウクライナ寄りに路線を変えたとも思えません。

 ウクライナ情勢は今後、戦闘の一方で、ドネツク州の線引きや戦後の安全保障をめぐる激しい駆け引きが行われそうです。

 それにしても、1月の就任以来、トランプ氏の対露傾斜は予想以上でした。プーチン氏とは毎月長時間の電話協議を行い、大使館活動など外交関係の正常化で一致。G7(主要7か国)の声明や国連安保理での審議で、米国はロシア批判に反対するようになりました。

 トランプ氏は一期目にも親露外交を進めようとしましたが、2016年大統領選へのロシアの介入に反発した米議会が超党派でトランプ氏の対露政策権限を奪った経緯があります。2期目は議会の歯止めが効かないようです。

 トランプ陣営とロシアの共謀疑惑を調査した議会報告書は、「共謀の証拠なし」という結論でしたが、今年初め、「トランプ氏はKGB(ソ連国家保安委員会)のエージェントだった」という新たな未確認情報が出てきました。

 カザフスタン人の元KGB幹部がSNSに投稿したもので、トランプ氏は1987年に最初にモスクワを訪れた際、KGBのエージェントにリクルートされ、コードネームは「クラスノフ」だと主張しました。

 この情報も根拠不明で、正確とは思えませんが、トランプ氏の「ロシアゲート疑惑」はまだまだ続きそうです。