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神谷代表は「日本のトランプ」-参院選・海外の反響


2025年7月
名越 健郎
 与党惨敗に終わった7月20日の参院選について、海外のメディアは「日本人ファースト」を掲げる参政党の躍進に注目し、日本の「右傾化」や「排外主義」の高まりを指摘する見方が多いようです。

 米紙「ワシントン・ポスト」(7月22日)は、「なぜ極右政党が飛躍したのか」という記事で、参政党がトランプ米大統領に感化された政策を柱に掲げ、外国人排斥主義で他の政党と一線を画したとし、「生活苦が進む有権者に共感を巻き起こした」と分析しています。

 「ニューヨーク・タイムズ」(7月21日)も、新しい右派政党の躍進は、若い有権者が減税や移民制限、政治の現状打破に賛同し、世代間ギャップが拡大している証拠だと指摘。「世界的な極右・反体制政治運動の波がようやく日本にも到達したかにみえる」と書いていました。

 同紙はまた、「安倍晋三氏の死が参政党の台頭に道を開いた」とし、自民党は今後、右傾化することで保守層を取り戻そうとすると予測。石破首相の後継は右派政治家になるとみています。

 欧州で進む極右ポピュリズムの政治潮流が日本に波及したとの見立てですが、仏紙ルモンドも「有権者のポピュリズムを扇動した参政党が排外主義的な政策を掲げ、歴史的な得票率を達成した」と報じていました。

 中国や韓国は警戒的で、韓国紙「東亜日報」は、「日本政局の不透明感が深まり、日韓首脳外交が遅延する」と分析。中国の新華社通信も、「物価対策が国民の不満を高め、石破茂首相の党内反対派が拡大している」と分析しています。

 中韓両国は、近隣諸国重視を掲げる石破外交を好感していただけに、日本の政治混乱や排外主義の台頭を警戒しているようです。

 ロシアの有力紙「コメルサント」は、参政党躍進の立役者、神谷宗幣代表を「日本のトランプ」との見出しで注目していました。

 東京選挙区で当選した参政党のさや候補が選挙戦中、ロシア国営宣伝メディア「スプートニク」と会見して物議をかもしましたが、ロシアはトランプ氏同様、参政党を親露的とみなして期待しそうです。

 参院選の大きな特徴は、自民党だけでなく、公明党、共産党も惨敗し、立憲民主党も伸び悩むなど既成政党の凋落と、参政党や国民民主党の飛躍でした。

 「トランプ氏のMAGA(Make America Great Again)運動が日本に波及しつつある 」(ニューヨーク・タイムズ)との分析は誇張気味ですが、新しい政治潮流が長期化し、新旧交代につながるかどうかが最大の注目点でしょう。