グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索

TOP >  コラム >  宗教弾圧に邁進する習近平政権

宗教弾圧に邁進する習近平政権


2019年4月
澁谷 司


今年(2019年)2月2日、習近平政権は河北省石家庄平山県の絶壁に彫刻された世界最大の「滴水観音像」を爆破しました。

高さ57.9メートルの立像は、5年の歳月と1700万元(約2億8000万円)を費やして岩肌に彫られています。その観音像は、多くの信者や観光客に崇められてきました。
しかし、今年1月、中国当局が観音像付近にやって来て、一般人が立ち入るのを禁じたのです。そして、観音像の頭部を爆破し、次に、胴体部分を爆破しました。

これは、習政権は、かつてタリバンが行った仏像破壊と同じ破壊行為です。
中国では「文化大革命」(1966年〜76年)の際、紅衛兵によって仏像が破壊されています。観音像破壊を見る限り、目下、中国では「文化“小”革命」が進行していると言っても過言ではありません。

他方、昨2018年、山東省淄博市九鼎蓮花山に鎮座していた観音菩薩像も中国当局によって撤去されています。

この観音像は、2009年、篤志家によって建立されました。高さは34メートルで建設費用が888万元(約1億4700万円)かかったと言います。その後、多くの仏教徒が、観音像へ参拝していました。

けれども、昨年6月、宗教事務局がその観音像の所有権を得たのです。そして、同年11月、観音像を撤去しました。

さて、習近平政権は新疆・ウイグル自治区に住むイスラム教徒のウイグル人100万人以上が「再教育キャンプ」へ強制収容され、洗脳教育が行われています。
実は、習近平政権の宗教締め付けは、イスラム教徒や仏教徒だけでなく、キリスト教徒にまで及んでいます。

近年、キリスト教会が北京の攻撃対象となりました。教会のシンボルの十字架が取り壊され、教会内には五星紅旗や習近平画像を掲げるよう強制されています。

昨年には、河南省が対象となりました。
例えば、同年8月29日、同省鄭州登封で、教会の十字架が撤去されています。同31日、同省平頂山汝州小屯にある教会の十字架が取り壊されました。

翌9月1日、やはり同省安陽県北郭豆の教会の十字架が撤去されています。同5日、同省南陽市唐河県の農村教会が“破壊”されました。

結局、昨年、中国では2000万人以上のキリスト教徒が迫害を受けたと言います。また、10万人を超える同教徒が逮捕されました。

中国共産党は一体、何を恐れているのでしょうか。今後も、習政権がこのような宗教弾圧を続ければ、ますます国内外にいる宗教関係者の反発は強くなるばかりではないでしょうか。