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朝鮮半島で起きていること


2018年5月
武貞秀士


2月、北朝鮮がピョンチャン五輪に参加したあと、4月27日、南北首脳会談が開かれ朝鮮半島の流れが変わりました。2回の中朝首脳会談と5月の南北首脳会談のあと、6月の米朝首脳会談に向けて米朝が協議を続けています。昨年とは違って、いまは終戦宣言をどう行うか、休戦協定を平和協定に転換すること、体制保証の方法、北朝鮮が非核化をどう受け入れるかに注目が集まっています。

米国は米朝首脳会談の場所をシンガポールに決定して、北朝鮮問題で米国が主導権を握る姿勢を鮮明にしました。トランプ大統領が首脳会談のキャンセルを表明したのに対して、北朝鮮の対米政策責任者が間髪入れず会談の再調整を呼びかけました。北朝鮮も首脳会談実現を最優先にしています。

北朝鮮にとり非核化とは、米国の韓国に対する核の傘を撤廃することを意味するので、体制保証とは米国の韓国への軍事支援の解消を含むと解釈しています。ただ南北関係が急ピッチで改善されてきて米朝の違いは埋まりつつあります。北朝鮮は大陸間弾道ミサイルを保有すれば米国が軍事介入を諦めて、南北だけで半島統一ができると考えてきました。北朝鮮の体制を維持したまま、朝鮮半島統一に向けて南北が歩み始めると核兵器の使い道はなくなります。文在寅政権との首脳会談で「自主統一」をうたった宣言に署名したあと北朝鮮は、南北の市場統合を進めながら緊張緩和ムードが拡散して米国が韓国への防衛義務を段階的に縮小することになれば、核兵器の段階的放棄が可能になると判断したのでしょう。それは、「アメリカ・ファースト」を追求するトランプ大統領と対立するものではありません。

北朝鮮は2020年までの「国家経済発展5カ年戦略」に基づき、経済成長率3パーセント台から脱却した経済成長を求めて、外国の投資誘致策と外貨獲得策を強化しています。そのためにも対外関係の改善が不可避になっています。

この朝鮮半島情勢の急速な変化で日本には大きなチャンスが生まれました。強固な日米同盟を維持しつつ、日韓間の信頼を醸成し、日朝協議を実行することができるのです。北朝鮮との直接協議で拉致、核、ミサイルと国交正常化の交渉を進めることができるのです。