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特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の政府専門家会合(GGE)について


2017年12月1日
佐藤丙午


特定通常兵器使用禁止制限条約の締約国会議(CCW)では、自律型致死性無人兵器システム(LAWS)について、2017年11月13-17日に政府専門家会合(GGE)、そしてその翌週に開催された締約国会議にGGEの報告書が提出されました。

GGEは、過去3回開催された非公式専門家会議の結果を受け、CCWでLAWSの規制を進める上で、政府専門家がその規制の是非と、その内容を検討するものです。GGEは2017年から3年間連続して開催される予定です。第1回GGEでは、各国政府の代表討論の後、技術、軍事、そして道徳と法の三つの観点から、各国の専門家による報告が行われています。

AIが搭載されるLAWSの危険性は、国際社会で広く認識されており、兵器の運用において、「human in/on the loop」をどのように担保するかが議論の焦点になっています。LAWSの議論では、兵器が攻撃をする瞬間の決定を常に人間が行うように規制すべき、という議論と、LAWSの開発自体を規制すべき、という議論が先行して話し合われてきました。しかし、後者の議論は、兵器開発自体に制約を課すもので、現実的ではないとの意見が強く、国際社会のコンセンサスを得ることは難しいのがわかってきました。前者の議論も、兵器が攻撃をする、という定義が明確にできず、尚且つ戦闘管理システムがAIによって制御されるようになると、どこからが攻撃なのかということも明確に規定できないことも明らかになりました。

このため、2017年のGGEでは、LAWSの特徴を再確認すると共に、AIを搭載した自律兵器の軍事的特質、そして、その法的及び道徳的な問題を、基本に立ち返って再検討したのです。その際には、非公式専門家会議で行われた、論点を包括的に提示して認識を共有するのではなく、最終的な「落としどころ」を模索しながら現実的な対話が行われました。同時に、参加国の中には、自国もしくは国家グループが必要と考える規制措置を提案した国もありました。その中には、フランスとドイツが提案した、LAWSの製造から使用までを、多国間機関に監視や査察を行わせる、兵器再検証プロセス(weapon review process)の設立を提案するものもあり、より具体的な議論が行われました。

CCWでの結論が、第6議定書になるのか、NPTのような軍備管理軍縮を目的とした多国間条約になるのか、それとも一部の市民社会団体が求めるような禁止条約になるのか、議論の行方は分かりません。しかし、次の世代の主要兵器になると予想されるLAWSが、人間社会の手に負えないものにならないようにどうするか、議論に注目する必要があります