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緊張する朝鮮半島


2017年5月1日
武貞秀士


軍事圧力で説得
朝鮮半島が緊張しています。米国の空母打撃群が東シナ海に到着し、トマホークミサイルを装備した原子力潜水艦が釜山の岸壁に着きました。軍事力を背景に北朝鮮の核実験、ミサイル発射を阻止する構えです。これに反発する北朝鮮は大規模火力演習を公開しました。1994年の核危機以降では最大の危機です。

米国の当面の目標は何でしょうか。4月26日、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、ダンフォード統合参謀本部議長らが出席して、北朝鮮情勢について上院議員全員にブリーフィングを行いました。「トランプ大統領の北朝鮮問題に対するアプローチは、経済制裁の強化と同盟国・域内パートナーとの外交的措置であり、北朝鮮が核・ミサイルを解体するよう圧力を加えるのが目標」と伝えました。軍事圧力を加えながら交渉で解決をめざすという意味です。

北朝鮮は4月15日の軍事パレードで大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル、特殊部隊を行進させて、軍事力を誇示しましたが、パレードには多数の外国メディアを前にして金正恩委員長が背広姿で登場して世界を驚かせました。

ロシアの役割
北朝鮮を説得する上で中国の役割は大きいのですが、ロシアの役割も小さくありません。プーチン大統領は沿海州経済の発展と北朝鮮の地理的条件を結びつけたいと考えて、2014年には北朝鮮の対ロ債務を大幅軽減しました。ロシアは北朝鮮の鉄道改修事業、送電線の設置、天然ガスパイプライン敷設構想などに深く関わっています。羅津港の第3埠頭はロシアが49年間、租借しています。「万景峰92」を定期船としてウラジオストクと羅津港間で運行する話がまとまりました。ロシアは金正恩体制が存続してロシアとの契約を履行してほしいと考えているでしょう。ロシアは北朝鮮に影響力を持っています。

5月以降の展開は
5月以降、朝鮮半島はどうなるでしょうか。北朝鮮は核兵器開発が最終段階に入り、核実験とミサイル発射を続けるでしょう。トランプ政権は核実験を阻止する構えですから、緊張状態が続きます。昨年は米韓軍事演習が4月末に終わり、5月中旬、朝鮮人民軍が支援をする「春期田植え戦闘」が始まりました。人民軍が農業支援をしなければ、北朝鮮の稲作は成り立ちません。昨年とは違い、ワシントンにはトランプ政権、北朝鮮の核開発は最終段階ですが、5月、米朝双方はどう動くのでしょうか。