グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索

TOP >  コラム >  今年の7大国際紛争予想

今年の7大国際紛争予想


2017年1月1日
野村明史


新年を迎え、2016年を振り返るとオバマ大統領の外交政策に代表されるように、世界情勢はまさに中東地域に踊らされた1年だったと言えるでしょう。シリア内戦、それに伴う大量の難民、ISによる世界規模でのテロ活動、ロシアのシリアへの関与など、今年も中東地域は安定どころかさらに混迷が深まっていきそうです。

そのような先行き不透明な中、アルアラビーヤ紙はアメリカのシンクタンク外交問題評議会が発表した2017年に起きる世界7大紛争の予想を報じました。

1つ目はロシア、イランによる武力介入など、紛争当事者への外部支援の増加によるシリア内戦の深刻化です。2つ目は国内または海外からによるテロ活動の継続、3つ目はトルコまたはトルコ周辺地域においてトルコとクルド人武装勢力による衝突の激化、そして4つ目はロシアの東欧における行動からロシアとNATO加盟国の間で意図的または意図しない軍事対立の勃発です。これら4つは国際社会に多大な影響を及ぼすと予想しています。

また、5つ目は北朝鮮の核弾道ミサイル実験と大量破壊兵器所有による危機の深刻化、6つ目はアメリカのインフラへのサイバー攻撃、そして最後にアフガニスタンでの混乱と不安定さの激化が挙げられています。これら3つは国際社会に中規模の影響を及ぼすと予想しています。これら紛争の予想の多くは中東に起因していると言えるでしょう。

さらに同紙は、昨年の外交問題評議会の予想にあったシリアからの大量の難民流入によるEU諸国の政治的不安定、ISや宗派対立によるイラクの崩壊、パレスチナとイスラエルの対立の激化、リビアの政治的崩壊危機の4つが影を潜め、今年度予想されるこれらの紛争はシリア内戦について謳っているにもかかわらず昨年のシリア内戦などと比べ、アメリカの国益にあまり影響を及ぼすことはないだろうと結論付けています。トランプ次期大統領のロシアへの急接近や石油禁輸政策実行の可能性を見越しているのかもしれません。

しかし、中東の不安定要因はこれだけではありません。サウジとイランの断絶、湾岸諸国とエジプトの不和、解決の糸口が見えないサウジを主力とするイエメンのフーシー派との戦争など中東地域の懸念材料は山積しています。これらの政治的不安定や力の空洞はさらなる紛争やテロを誘発するでしょう。そのような中、トランプ次期大統領はイスラエルと急接近し、またイランとの核合意破棄を宣言しています。中東地域は安定どころかさらなる不安定化が加速しそうです。

元日未明、トルコのイスタンブールでは何者かによる銃乱射によって39人を殺害するテロが発生しました。今年の暗雲立ち込める中東不安定化の序章なのでしょうか。ますます中東から目が離せない1年になりそうです。