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アメリカ大統領選挙と日米同盟


2015年9月1日
川上高司


来年11月に行われるアメリカの大統領選挙が幕を開け始めました。現在、共和党の候補者ではドナルド・トランプがトップを走り、威勢のよいことを好き勝手に叫んでいます。トランプはバブルたけなわの1980年代に不動産王として名を轟かせました。トランプは2011年の大統領選挙の共和党候補に立候補しミット・ロムニーに次いで2位となっています。

そのトランプ候補ですが、8月25日のアイオワ州での集会で「日本が攻撃されれば、米国は助けに行かなければならないが、米国が攻撃を受けても日本は助ける必要はない。日米安保条約は不公平だ」と発言しました。日本が集団的自衛権の行使容認を行ったことを全く知らないようです。また、「米国は、中国と日本に雇用を奪われている。雇用を取り戻そう」と、まるで、1980年代に逆戻りしたような古いことを訴えています。

なぜ、トランプのような候補者が米国で人気を博すのでしょうか。米国では2009年にバラク・オバマが黒人として初めて大統領に就任してから白人は危機感を持ち始めました。非白人が米国社会の実権を握ることに嫌悪感を持つ白人層がティーパーティーを結成したり、白人の警察官が黒人を射殺する事件が続いて起こったりしています。そういった白人の不満をトランプが代弁し人気を得ていると考えられます。

現在、アメリカ社会は人口構成上の大変化が起こっています。2050年には非白人の数が白人の数を上回わりこれまでの白人を中心としてきた、いわゆるWASP(White, Anglo-Saxon, Protestant)社会が崩壊します。黒人大統領の誕生はその前兆戦でありましたし、現に、これまでのアメリカの大統領とは全く違う価値観を持つオバマ大統領は「世界の警察官を放棄する」と宣言し、米国の国益を優先する「アメリカン・ファースト」の外交政策を展開しました。オバマ政権はアメリカの経済を立て直すという理由で、10年間で5千億ドルの軍事費削減を宣言し、米軍の前方展開兵力の予算を削減したために日本はアジア地域で「力の真空」が起きないように防衛力を強化せねばならなくなりました。日本は東シナ海だけでなく南シナ海での守りを行う必要がでてきたわけです。その状況下で安倍政権が集団的自衛権の行使容認を認めた「ガイドライン」の改定を行うきっかけとなったと考えられます。そう考えるならば、来年のアメリカの大統領選挙のゆくえは、再び日本の安全保障に大きく影響を及ぼすことになるでしょう。