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残り2年のオバマ政権の行く先


2015年3月1日
川上高司


オバマ政権はイラクへ第82空挺部隊から1000人をイラクへ派遣する予定です。主な任務は「イラク軍の養成」であるとされているので、すでに250人がイラクに派兵されているのでオバマ政権は「増派」したことになります。

この1000人は、実は昨年12月にオバマ大統領が1500人をイラクへ派遣すると発表したその一部です。ISISはイラクやシリアで勢力を強め、カナダ軍とは実際に衝突しています。こうして少しずつ米軍の派兵が増えていけばやがてISISと米軍が衝突する可能性は高まり、そうなれば米軍が再び泥沼の戦争へと足をとられていくことは容易に予測できるわけです。

2001年以降、主にイラクとアフガニスタンで使われた予算は総額で1.7兆ドルとなりました。支出が突出したのは2008年でそれ以降は段階的に減少傾向にあります。全体は減少したにもかかわらず急激に伸びているのが、帰還兵に関わる支出です。退役軍人局ではイラク、アフガニスタンでの退役軍人に関する支出は2007年から発生し、当初は10億ドルだったのが2014年には40億ドルにはねあがっています。

昨年12月31日をもってアフガニスタンでの米軍の任務か完了しました。国防総省が負担するコストは確実に減少していますが、前線に行った者にとっては戦争は終わりません。この先何年もその負の遺産をアメリカは背負っていかなければならないのです。

1月のピューリサーチセンターの世論調査では、国民の関心事のトップにテロが、経済問題に取って代わりました。オバマ大統領就任以来初めてのことです。国民が内向きになり内政重視の世論が強く2012年には81%、外交を重視すべきと考えたのはわずか9%でした。それがいまでは内政重視は67%まで下がり、外交に力を入れるべきだと考える国民は20%にも激増しまし。アメリカの復活を予感させる世論だが、再びアメリカは世界に関与を強めるのか、そうであるならば「世界の警察官」から降りたオバマ大統領の国際協調主義と孤立主義はどこへ向かうのでしょうか。残り2年の任期から目が離せません。