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(新)「習近平政権とウイグル族の『戦争』のはじまり」


2014年6月16日
澁谷 司


2013年10月28日、普段から警備が厳重な天安門広場に、3人搭乗していた四輪駆動の車が歩道に突入しました。5人者が死亡、40人が負傷しています。ウイグル族夫婦とその母親が火をつけて車ごと燃やし「自爆テロ」を敢行したのです。

新疆ウイグル自治区では、長年、中国共産党によるウイグル族への弾圧で、多くのウイグル人が殺害されています。昨年6月にはトルファン地区ピチャン県で暴動が発生し、35人の死者が出ました。もしかすると、その「自爆テロ」は殺された自分の家族の恨みを晴らすためだったのかもしれません。

その約1ヶ月後、「トルキスタンイスラム党」が習近平政権に対し「聖戦」(=「ジハード」は本来“努力する”という意味です)を行ったとの犯行声明を出しました。この事件が、「トルキスタンイスラム党」による習近平政権に対する“戦いの狼煙”であったと思われます。

今年(2014年)に入り、3月1日(北京で政治協商会議や全国人民代表大会開催直前)、雲南省・昆明市で、ウイグル族8人の武装集団が昆明駅で刀を振り回し、29人が死亡、143人が負傷を負いました。

その後、4月27日~30日、習近平主席が治安当局を慰問するため、新疆・ウイグル自治区を訪問していました。ところが、同月30日、ウルムチ南駅で80人以上が死傷する爆発事件が発生したのです。翌月14日、地元警察当局が、現場で死亡した容疑者の男(39)の兄弟や妻ら7人を拘束したと伝えられています。

さらに、「アジア相互協力信頼醸成措置会議」第4回首脳会議が5月20日~21日に上海市で開催されました。その翌22日、ウルムチ市中心部の公園付近で、朝市会場に車2台が突っ込み、数回、爆発が起きました。31人が死亡、94人が負傷したと伝えられています。

さて、海外のウイグル族には、主に3つの流れがあると考えられます。①「世界ウイグル会議」(非暴力を唱え、原則的に新疆・ウイグルでの高度な自治獲得を目指す)、②「東トルキスタン共和国亡命政府」(米国ワシントンDCに存在。東トルキスタン共和国<1933年・1944年に建国>の流れを汲み、新疆・ウイグルからの完全独立を目指す)、③「トルキスタンイスラム党」(TIP。「東トルキスタンイスラム運動」<ETIM>を展開し、ウイグル族で最も過激な一派。ただし、実態は不明)。昨年10月以来、中国国内で発生している一連のテロは、このTIPによる事件と思われます。