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【コラム】不思議なツーショット


2026年1月
梅田 皓士
 2026年1月13日に奈良県で日韓首脳会談が開催されました。これは、昨年10月に韓国・慶州市において日韓首脳会談を開催した際に、李在明韓国大統領が、「次は自身が日本を訪問する番であり、首都の東京ではなく、地方都市でお会いしたい」と述べたことを受けて、高市早苗首相の地元である奈良において開催することになったものです。昨年の首脳会談の開催地である慶州市は、新羅時代の首都であり、同地を説明する際、かつて日本の中心であった京都や奈良のような都市と説明することが多く、高市早苗首相の地元ということを置いておいてもいい開催地です。
 昨年の首脳会談において、良好な日韓関係が示されましたが、今回の首脳会談でも、市早苗首相と李在明大統領がドラムを演奏する姿を見せるなど、終始、良好な日韓関係が演出されました。尹錫悦前大統領の下でも、日韓関係は良好でしたが、韓国で保守政権から革新政権に政権交代をしたとしても、日韓関係が維持されていることは、これまであまり見られなかった光景と言えます。
 筆者は、昨年3月に韓国プレスの対応をした際に、「高市早苗首相、李在明大統領の日韓関係は怖い」と述べましたが、この点においては、筆者の見立ては大きく間違えていたました。しかし、李在明大統領がここまで変わると想像した人々がどこまでいただろうかとも同時に考えてしまいます。周知の通り、李在明は大統領就任以前、「反日政治家」として認識されていました。特に、尹錫悦政権下で行われた日本の福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出の際には、海洋放出反対とそれを容認した尹錫悦政権への抗議としてハンストを実施したのが、当時、最大野党の代表の李在明でした、この問題をめぐり、駐韓中国大使と面会し、日本の動きを牽制する発言もしていました。これらのことから、現在の李在明は、まさに君主豹変戸も言えます。また、高市早苗首相も保守系の政治家として知られていて、事実かはさておき、韓国メデイアでは、「女版安倍」なとと報じられています。
 これらのことを鑑みると、その両者が二回の首脳会談において、良好な関係を演出し、二人で満面の笑みで写真に写っている光景は、「不思議なツーショット」と言えます。おそらく、この「不思議なツーショット」を読み解く鍵は、両者が抱える国内事情と米国の動きと言えます。日本では、高市政権は、少数与党から出発し、その後、公明党の連立離脱など、国内の政権基盤が安定しない状況にあります。また、韓国では、李在明政権は、議会で多数を占め、さらに与党・共に民主党は李在明大統領の方針に従う動きを見せていますが、戒厳令問題で尹錫悦前大統領や尹錫悦政権の高官などへの裁判は目下、行われています。このように、高市早苗首相、李在明大統領共に、国内の問題に対応しなければならず、日韓関係が悪化することを避けたいとの思惑があると理解できます。さらに、トランプ米国大統領が、米軍の駐留経費の増額や同盟国の防衛費の引き上げなどを要求する中、米国の一方的な要求を日韓で協力し、上手く対応したいとの思惑も見えます。
 この辺りが、「不思議なツーショット」の背景と言えるでしょうが、次に課題となるのが、この「不思議なツーショット」が一体、いつまで続くのかということです。当然のことながら、日韓関係が良好であることに超したことはなく、この関係が続くことが望ましいと言えます。しかしながら、現状、互いに利害が一致しているために関係が安定しているとした際、この利害の一致が崩壊すると、関係悪化もあり得るということは留意しなければなりません。現状、その予兆は見られないものの、今後の政治的なイベントの動きによっては、予兆が現れることもあり得ます。その意味において、日韓関係を楽観視し続けることは危険と言えます。