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一喜一憂しても仕方ない韓国大統領選挙


2022年3月
荒木和博


 3月9日に投票が行われた韓国大統領選挙は野党「国民の力」の尹錫悦候補が僅差で与党の李在明候補に勝利しました。私は韓国の大統領選挙は予想を外してばかりなので今回は何も言いませんでしたが、どっちになっても結構差が付くのではないかと思っていました。したがってそれも外してしまったことになります。

 また、僅差になった場合は負けた方が「不正選挙」と騒ぐのではないかと思ったのですが、これも外れたようです。野党が負けたら「不正選挙」で騒いだでしょうが、さすがに与党が負けた方なので「不正」というわけにはいかなかったのでしょう。この点は選挙中に現職のトランプ大統領が「この選挙は不正だ」と言っていた米国より(選挙不正の当否はともかく)韓国の方がまともなように思えます。

 韓国がこれからどうなるか、まだ不確定要素が多すぎて予測するのは難しいです。私が予測してもどうせ外れるでしょう。しかし少し遠目に見ると、韓国政府と国民が選択できる範囲はそう広くありません(この点は北朝鮮も大同小異です)。ロシアのウクライナ侵攻とか中国の動きなどを見ると時代が一世紀くらい前に戻ってしまった感じなので、この流れからすれば朝鮮半島は大国の狭間でさらに翻弄されるのではないかと思います。すでに朝鮮半島問題は米中関係の変数の一つ程度のことであり、北朝鮮がいくらミサイルを発射しても、それによって流れができることはないでしょう。もちろん、米中どちらかがそのミサイルを理由にして何かをやれば別ですが。

 ところで僅差の選挙というのは、要は「俺が当選させてやった」という人間がたくさん出ることになります。どういうことかと言えば、例えば100票と50票の闘いなら支援者の中で「自分の票で通った」と言える人間は出ませんが、100票と99票の闘いであれば、皆が「俺が寝返らなかったから当選できたんだ」ということになるということです。これからその成果配分は大変です。朴槿恵政権は国会議員選挙の与党公認作業の中で親朴槿恵勢力を露骨に優遇したことで党内非主流の反発を買いました。これが後に大統領弾劾で与党票が賛成に流れるという結果を招いています。政治経験のない大統領ですから舵取りは大変だと思います。

 また、韓国政治にはつきものの露骨な報復も当然行われるでしょう。韓国大統領の末路が不幸になるというのは日本でも有名です。文在寅大統領の任期はあと2か月、その後どうなるでしょうか。また、閣僚や現政権関係者も軒並みやられる可能性はあります。例えば知人のソウル特派員経験者は康京和・元外相(グレーの髪のちょっと知的な雰囲気の女性です。覚えておられる方も多いと思います)について、「結婚詐欺以外の全ての疑惑がある」と言っていました。ちなみにその結婚相手の延世大名誉教授は奥さんが外相をやっていてコロナ対策で海外渡航を自粛するよう呼びかけている最中、米国にヨットを買いに行ってしまいました。

 いずれにしても問題は日本との関係ですが、保守系候補が通ったからと言ってこれもあまり期待しない方が良いでしょう。隣の国ですから無関心にはしていられませんが、起きる状況に一喜一憂することなく、ウクライナの情勢や中国の動き、そして米国の状況をまとめて考えて、最後は日本がどう自立して行けるかを模索するしかないと思います。