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選挙予測


2017年4月1日
荒木和博


朴槿恵大統領の解任によって5月9日に大統領選挙が行われることになった韓国。現時点では第1野党「共に民主党」の文在寅候補が最有力とされています。

私の選挙予測はほとんど当たったことがないのですが、現状では保守系は適当な候補すらいない状態で、当選するのは少し左か、左か、もっと左かという程度の差になる可能性が高いでしょう。

ところで私がもっとも見事に選挙予測をはずしたのは盧武鉉の当選した2002年12月の大統領選挙でした。盧武鉉は金大中政権の与党の中でもダークホースで、大統領どころか候補者にすらなれないだろうと思われていました。私は「絶対に盧武鉉が当選することはない」と言い続けていました。実際当時は野党だったハンナラ党の李會昌候補が圧倒的に強いとみられていました。韓国ウォッチャーでもその見方が有力でした(負け惜しみになりますが)。

盧武鉉が勝ったのは、後付けの理由ですが例えばこんなことではなかったかと思います。

①圧倒的優勢と言われた李會昌はもともと検事で、頭を下げるのが苦手であり、反感を買うことが少なくなかった。息子の兵役逃れ疑惑もマイナスに作用した。

②盧武鉉はダークホースで、派閥を作らない一匹狼の政治家だった。クリーンなイメージがあり圧倒的に強いとみられていた李會昌陣営からすると非対称戦のようになってしまい攻撃しにくかった(この点は昨年の米国大統領選挙と似た構図です)。

③この年6月13日、在韓米軍の装甲車が交通事故を起こし女子中学生2人が死亡した。盧武鉉支持派は反米運動と相まってこれを最大限利用した。選挙も大詰めの11月20日から22日、米軍の軍事法廷で起訴されていた2人に無罪判決が言い渡されると運動はさらに熱を帯び、盧武鉉当選の原動力となった。

私はこのとき「米国は反米の盧武鉉を当選させて、韓国の世論を理由に在韓米軍の撤退を図るのではないか」とすら思ったものです。何はともあれそのような流れの中、僅差で盧武鉉は当選し、金大中・盧武鉉の左翼政権10年で親北勢力は力を付けました。今回の朴槿恵弾劾→罷免に至る流れもそれがあったからこそできたことです。

「北朝鮮の脅威」も昔なら選挙のとき一定の歯止めになったのですが、朝鮮戦争の記憶を持たない世代が大部分になった今の韓国ではほとんど効果がありません(大多数の国民は北朝鮮に関心すら持っていません)。現時点でも保守の集会は中高年、左翼の集会は若者が中心ですから、このままで行けばやはり野党の勝利は濃厚でしょう。

と、やはり選挙予測をしてしまいました。このときの盧武鉉にあたる候補者が与党側で出てくれば意外に面白い闘いになるかもしれませんが、現状では時間切れといった感じです。

それでも、やはり何が起きるかわからない。例えば北朝鮮が武力挑発するとか、米国が業を煮やして「斬首作戦」をやるとかすれば状況はまた一変します。そう言っておけばまあどうにでもとれるかなと思っているのですが。

以上、「晴れときどき曇り、ところによって雨か雪でしょう」的な選挙予測でした。