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韓国総選挙で与党大敗


2016年4月15日
荒木和博


4月13日に投票が行われた韓国の総選挙は当初与党セヌリ党が圧倒的に有利と見られていました。300議席のうち180くらい取るのではないかとも言われていましたがそれが逆に禍いしたのか、公認をめぐるごたごたなどもあり支持が離れて122議席。第1野党のトブロ民主党に1議席及ばない大惨敗になりました。ちなみに「トブロ」とは「共に」という意味で、略称「ドミンジュ」。日本人には「ど民主」と聞こえます。

そのトブロ民主党は勝ったものの野党も割れており、本来野党の金城湯池だった全羅道はかなり第2野党の国民の党に取られていますから、今後どうなるか分かりません。
韓国は大統領に圧倒的な権限がありますから日本の国政選挙ほど政局への影響はありません。敗北で与党がある程度固まれば逆に大統領選挙に有利になるかも知れず、そうなれば与党全体とすればプラスに働いたということになります。しかし選挙というのは負ければ責任のなすり合いが起きるのが常で、逆に修復不可能になるかも知れません。

いずれにしても今後政局の関心は来年12月の大統領選挙に移り、それは同時に朴槿恵大統領のレイムダック化を促進します。大統領の権限の強い国で大統領のリーダーシップが低下するのは最悪の状態で、ますますものが決まりにくくなるはずです。昨年末の日韓合意もおそらく政局のネタにされるでしょう。まとも履行される可能性はますます低くなり、少なくとも大使館前の慰安婦像は当分撤去されないでしょう。ちなみに次の大統領選挙の候補者としては潘基文・国連事務総長が有力視されており、何党から出ても当選しそうな勢いですが、ご本人の雰囲気からすると大統領としてリーダーシップを振るうタイプではないように思います。

野党勝利で対北政策も変化が予想されます。北朝鮮核問題やミサイル問題に対する国際的強調、あるいは日韓の協力にもブレーキがかかる可能性があります。

その意味ではこの選挙結果は北朝鮮にとってプラスなのですが、北朝鮮は北朝鮮で金正恩の恣意的な命令により混乱を来しています。5月に行われる予定の労働党大会は実に36年ぶりなのですが、それだけに大会で誇示する成果をあげなければなりません。しかしミサイルの発射や核実験で新たな援助を得ることは難しく、さらに強く出てリーダーシップを維持せざるを得ないでしょう。

北朝鮮の強硬姿勢は中国への当てつけとも言われます。その中国と南北の関係などもからんで複雑な状況は予想し難いのですが、日本としては常に何かが起きるということに備えておく必要があると思います。(了)